MLB OPENING SERIES

COLUMNコラム

100年以上も続く“ある習慣”
MLB流の観戦を東京ドームで味わおう

2019.1.29

3月20日(水)、21日(木・祝)に7年ぶりに東京ドームで開催されるオークランド・アスレチックス対シアトル・マリナーズの「メジャーリーグ(MLB)開幕戦」。本場アメリカの真剣勝負を味わうまたとない機会だけに、是が非でも球場に足を運びたいところだ。今回は「MLBの観戦スタイル」にスポットを当てる。

9回表の攻撃を終えて選手たちが守備につき始めると、球場内にロックミュージックが流れだす。その瞬間、スタジアムを埋め尽くすファンの大きな拍手と歓声がスタジアムに響き渡る。本拠地の試合で勝ちを収めるため、クローザーの名前がスタジアムDJによりコールされた。

外野スタンド奥にあるブルペンから、ゆっくりと走りながらマウンドへ向かうクローザー。彼を見守る観客は総立ちになり、音楽に合わせて手拍子をとり、ダンスを踊り、勝利の前祝い状態になる。

日本のプロ野球のように“応援団”がいないのが、MLBの大きな特徴。それぞれが、思いのまま試合を楽しむのがMLBのスタジアムでよく見る光景だ。スタジアムでチームと観客を一体にさせる役目が、スタジアムDJとバックスクリーンを使った演出。それに合わせて観客も踊ったり、歌ったり……手にはホットドッグやビールを持ちながら……これこそがMLBスタイルだ。

一方で、クリーブランド・インディアンスでは伝統的に太鼓を鳴らすファンもおり、そういうスタイルの球場もある。30球場一つひとつに個性があるのが面白い。西海岸などは、試合途中になぜか観客席の間をビーチボールが飛び交うこともあるのだ。

プレーオフやワールドシリーズになると、観客の応援スタイルはシーズン以上に増す。「地面から体に響き渡る感覚ですかね。地鳴りのような、今までに味わったことのない歓声だったので、めちゃくちゃ鳥肌が立ちましたよ」とは、2017年に初めてワールドシリーズのマウンドを踏んだロサンゼルス・ドジャースの前田健太。ファン一人ひとりが手と声、ときに足と体全体を使い、試合の雰囲気を変えてしまうのがMLB流の応援と言ってもいいだろう。

1990年代、アメリカプロバスケットボール協会(NBA)でスティックバルーンが流行した。細長い風船のようなもので、両手で鳴らすことで雷のような音が出るのだ。2002年のプレーオフ、ロサンゼルス・エンゼルスがスタジアムでエンゼルスカラーの赤いスティックバルーンを配り、満員のファンが一斉に鳴らしながら応援し、球団初の世界一に輝いた。このときから、プレーオフなどでスティックバルーンを使用した応援も定番になっている。

最後に、30球団のスタジアムすべてで、同じことをする習慣があるのをご存じだろうか。7回表終了後だ。日本のプロ野球ではそれぞれのチームの応援歌を歌い、ジェット風船を飛ばすのが定番。MLBでは「Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れて行って)」を観客全員で歌うのだ。この起源は1910年のこと。ワシントンDCでの開幕戦に観戦に来た当時のウィリアム・タフト大統領が7回に立ち上がって背伸びをした。それを見た観客がマネをしながらこの歌を歌ったことだとされている。これを「セブンス・イニング・ストレッチ」という。

もう100年以上も続いているこの習慣。MLBの試合では当たり前の光景でもあり、スタジアムが一体となる瞬間だ。今回の開幕戦でも流れたら、皆さんも一緒に歌い、MLB流の観戦を楽しんでみてはいかがだろう。

(文責:週刊ベースボール)

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