MLB OPENING SERIES

COLUMNコラム

MLBのマウンドが硬い理由
そして“魔法の泥”とは

2019.2.6

7年ぶりに東京ドームで開催される「メジャーリーグ(MLB)開幕戦」。本場アメリカの真剣勝負を味わえるまたとない機会だけに、是が非でも球場に足を運びたいところ。そんなMLBの魅力に迫る本コラムの3回目は「マウンドとボール」にフォーカスしたい。

MLBのマウンドは日本より比較的高いと思っているようだが、30球団のスタジアムとも規定通り(全世界共通)の「高さは10インチ(25.4センチ)」で作られている。“傾斜はプレートから前方の15.2センチは水平。そこから30.5センチ進むにつき2.5センチ下がる傾斜をつけ、その傾斜は各競技場とも同一でなければならない”という規則がある。しかし、そこは人間が作るマウンドだけに各スタジアムまちまち。微妙に傾斜が変化するのは仕方ないというところだろうか。

また、マウンドが日本の球場よりも硬いとされているが、これはレンガで使用する粘土用の土を使うスタジアムが多いからだ。2014年の日米野球の際も日本の球場に「ターフェイス アスレチックス」という土が使用されている。今回の東京ドームでの開幕戦も同じような土が使用されるだろう。

ではなぜ硬いのか。これはMLBの投手たちが、マウンドが大きく掘れてしまうことを嫌うためだ。そこで、グラウンドキーパーたちは、まず機械でしっかりとマウンドを固めていく。スタジアムによってはさらに熊手のようなもので、ピッチャーズプレートから足を踏み出すところまで掘っていき、その上に水を含んだ布を置いて、杭打ち用のタンパーのような道具を使い叩きながら固めていく。それを何回も繰り返すことによってより強固なマウンドに仕上げていくのだ。

今回の開幕戦の試合終了後、時間の許す限り球場で、グラウンドキーパーがどのようなマウンド整備を始めるのか見てみるのも、MLBの雰囲気を味わえるかもしれない。

そして、日本との違いは「ボール」にもある。MLB公式球はよく滑ると言われているが、その滑りを抑えるため、試合前にスタジアムのスタッフが特殊な泥を塗り込んでいる。しかも、30球団すべてのスタジアムで、ニュージャージー州デラウェア川で採取された泥を加工したものが使用されているのだ。

MLBでは約1世紀近くこの泥だけしか使用していない。ほかの泥よりもMLBのボールにマッチしており、そこまで黒くならないというのが理由だ。1938年、フィラデルフィア・アスレチックス(現オークランド・アスレチックス)の三塁コーチのリナ・ブラックバーン(Lena Blackburne)が自宅近くでこの泥を塗ってみたところ、非常によくなじんだ。そこで審判に見せると評判がよくなり、まずアメリカン・リーグが採用し、その後ナショナル・リーグも採用した。

この「ブラックバーン家の近所の泥」はいつしか全米の野球には欠かせないものになっている。現在は「Lena Blackburne Baseball Rubbing Mud(魔法の泥)」という土の製品となり、各スタジアムで使用されている。試合に使用するすべての公式球に練り込むため、実はニューボールであっても、使うときには真っ白ではなくやや薄茶色だ。

今回の開幕戦の東京ドームの観戦中、もし近くにボールが飛んできたときは、実際に確認してみるのも本場の野球を楽しむポイントになるだろう。

(文責:週刊ベースボール)

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